新しいシステムや「金の稼ぎ方」の話が出てくると、にわかに議論が盛り上がり、新しいということだけで、その賛否が分かれている節もある。
ただ、なんであれ僕が思うのは、例えば中央集権的であろうが分散型システムであろうが、フリーミアムモデルだろうが今までのやり方だろうが、それを動かす哲学や理念しだいだと思うし、21世紀になってからむしろ精神的な価値や報酬の重要性は経済学でも社会学(たとえばコトラーやオルソン)でも言われているにもかかわらず、それについての議論はあまりなく、それが重要であるという意識の共有をはからないからポスト・トゥルースみたいになるんじゃないかと思う。また、何か新しいことを行なえば、なにが得られてなにを失うのか、をまず考えるべきだし、明らかにすべきだ。そして、それを話するとき、だいたいお金や業界のことばかりで、それによって「人間が」「クリエイターが」何を得て何を失うのか、に触れない人は、極端に言えばみんな単なるアジテーターだ。だいたいweb2.0とか言って、「これで多様性が世界を包み、革命が起きる」とか言ってたのはつい最近のことで、実際はその真逆になってしまったことをもうみんな忘れている。そもそも嘘ついた方が得する、その方が賢いと賞賛される世の中であるならば、どんなシステムだろうがダメなのだ。そしてどんなシステムもシステムでしかない。それを優先してしまうと人間は疎外される。そういうことは綺麗ごとじゃなくて、リアルなことなんだ、ということは、多分今後も言い続ける気がする。