先日11/24にDAYDREAM吉祥寺でのトークイベント「メンタルヘルス講座 Vol.7『表現とジェンダー』を行いました。いつもの司会のフユコさんと、表現の現場調査団のメンバーでもある森本ひかるさんとの鼎談と、参加者の方との語りはとても大切なことがたくさんありました。ここでは、そこでのトークの内容ではなくて、そこで取り上げられたデータについて、Vol.6のものも含めてメモしておこうと思います。イベントの中で僕は「事実をきちんとみること。事実を見ないと判断が歪む」と何度か言いました。これは全てのことに通じることだと思います。

まず、表現の現場調査団による調査のデータはこちらで読めます。

表現の現場調査団

そして、アメリカのポピュラー・ミュージック界のデータです

2021年ディアおよびテクノロジー分析会社の MIDiA が、Tunecore とその親会社であるデジタルミュージック企業 Believe と共同で行った新たな調査「Be The Change: Women Making Music In 2021」

https://www.midiaresearch.com/blog/be-the-change-women-making-music-2021

■401 人の女性クリエイターのうち 81% が、男性アーティストよりも女性アーティストが認知されるのは難しいと考えている。

■独立系クリエイターのロールモデルとなる女性がそれほど多くない (81% がそう思う、49% が「強くそう思う」)。

■女性クリエイターのほぼ 3 分の 2 が、セクシャルハラスメントまたは性的対象化を重要な課題として認識している。

■「大きな 3 つの課題」: 年齢差別 (38% が特定)、男性優位の業界リソースへのアクセスの欠如 (36%)、低賃金 ( 27%)

■女性回答者の 90% 以上が、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)を経験したことがある。

■社会における女性の全体的な割合は、過去数十年にわたって増加しているが、女性の 84% は、女性が子育ての主要な役割を担うことが期待されているという認識がまだ存在していると感じている。音楽業界は、女性アーティストが若くあることを望んでいるが、これは、業界の若さへの執着の兆候でもあるが、女性が母親としての役割を引き受けることを決定する前に成功するためでもある。

■最も実用的な出発点は、女性に優しいリソースと安全な職場 (34%) であり、35% の女性クリエイターは、コーチングやメンタリングの形で、学習と経験の共有からより多くの変化がもたらされることを望んでいる。


南カリフォルニア大学アネンバーグ・コミュニケーション・ジャーナリズム大学院が毎年発表している、年間のヒット曲におけるジェンダーや人種の割合を調査したレポートの2021年版

■2012年から2020年に、米Billboardの年間シングルチャートであるHot 100 Year Endチャートにランクインした900曲を送り込んだ388組のアーティストのなかで、女性アーティストが占めた割合は21.6%。ソロアーティストに限れば30%まであがるものの、デュオでは7.1%、バンド(※)では7.3%しか占めていない。

※メンバーが3人以上いるグループをバンドとしてカウント。調査対象の9年間のチャートでランクインしたのは51組で、女性だけがメンバーのバンドは2組、男性と女性それぞれのメンバーがいるバンドは13組。

■USC Annenbergのレポートによれば、過去9年でヒットした900曲にクレジットされた4,322人のソングライターのうちで、女性のソングライターはそのうちの12.6%となる543人。対する男性は3,779人で、比率で表すと男性7人に対して女性が1人。

■過去9年にヒットした900曲のうちで、女性のソングライターだけで手掛けた楽曲はたったの4曲。一方で、女性が1人もクレジットされていない楽曲は57.3%を占める466曲、女性が1人しかクレジットされていない楽曲は30.6%を占める249曲。

■2012年、2015年、2017年、2018年〜2020年の6年間でHot 100 Year Endチャートにランクインした600曲には、1,291人のプロデューサーがクレジットされたものの、女性のプロデューサーはそのうちのわずか2.6%で、比率で表すと男性38人に対して女性が1人。

*参照元「過去9年の人気曲で女性シンガーソングライターの割合は12.6%、プロデューサーは2.6%との調査結果(FRONTROW 2021.03.13)https://front-row.jp/_ct/17436962