「自己肯定感が大事」と言いながら、
誰かの役に立つとか何かができるとか、そういう条件付きだったり、
時には「それができないならダメ」という脅しだったり。
そんな世の中だから、読みたくなりました。
奈々子に 吉野弘
赤い林檎の頬をして
眠っている 奈々子
お前のお母さんの頬の赤さは
そっくり
奈々子の頬にいってしまって
ひところのお母さんの
つややかな頬は少し青ざめた
お父さんにもちょっと
酸っぱい思いがふえた
唐突だが
奈々子
お父さんは お前に
多くを期待しないだろう
ひとが
ほかからの期待に応えようとして
どんなに
自分を駄目にしてしまうか
お父さんは
はっきり
知ってしまったから
お父さんが
お前にあげたいものは
健康と
自分を愛する心だ
ひとが
ひとでなくなるのは
自分を愛することをやめるときだ
自分を愛することをやめるとき
ひとは
他人を愛することをやめ
世界を見失ってしまう
自分があるとき
他人があり
世界がある
お父さんにも
お母さんにも
酸っぱい苦労が増えた
苦労は
今は
お前にあげられない
お前にあげたいものは
香りのよい健康と
かちとるにむづかしく
はぐくむにむづかしい
自分を愛する心だ
投稿者: TESHIMA masahiko
1971年生。鹿児島県出身。出生地は大分県日田市。早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。ミュージシャンとしてインディーズ、メジャーレーベルから数作品発表。また、音楽事務所にて音楽制作、マネジメント・スタッフを経て、専門学校ミューズ音楽院にて新人開発室、ミュージック・ビジネス専攻講師を担当。多数のアーティスト輩出。産業カウンセラー、音楽関連のライター、保育士資格保持者。「文化・芸能業界のこころのサポートセンターMebuki」所属カウンセラー。音楽・エンターテイメントのフィールドでのメンタルヘルスや発達障害などの特性に対する理解の重要さについて発信し続けている。
2016年、精神科医の本田秀夫氏との共著『なぜアーティストは生きづらいのか?~個性的すぎる才能の活かし方』を リットーミュージックから出版。アマゾンの予約の段階で音楽一般カテゴリで1位を獲得。
2016年、音楽プロデューサー・牧村憲一総合監修の「音学校」にて「ミュージシャンファーストマネジメント」ゼミを特任講師として担当。
各種講演・トークイベント、WEB連載を行なっている。
2019年「なぜアーティストは壊れやすいのか?~音楽業界から学ぶカウンセリング入門」上梓(SW)
2024年4月22日『アーティスト・クリエイターの心の相談室 創作活動の不安とつきあう』上梓(福村出版)
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