アメリカの哲学者・エリック・ホッファーは「大衆運動」(キリスト教、愛国主義、ナチス、共産主義etc)に人がなぜ身を投じるのか、ということについて分析をしました。そして彼は、大衆運動に参加する人々は「自分が自分であることに耐え切れなくなり、個人としての自分から逃走しようとする人である」と指摘します。以下は彼の著書『大衆運動』からの引用です。
自由は、欲求不満を軽減する反面、少なくともそれと同程度に欲求不満をいっそう重くする。選択の自由は、失敗した場合の非難をことごとく個人に荷わせる。(中略)個人の責任から逃れるために、つまり熱烈な若いナチス党員の言葉でいえば、「自由から自由になるために」大衆運動に参加するのである。(中略)実は彼らは、責任から自由になるため、ナチ運動に参加したのではなかったろうか。(エリック・ホッファー『大衆運動』)
そして、集団に融合された個人は、自分も他人も「個の人間」としては考えなくなり「自分は○○人だ」「自分は○○教徒だ」と、所属集団を主張するようになるといいます。「個人の責任から逃れるため」という視点に注目です。現代の私たちも、やたらと「個人の責任」を重くさせられていることが増えているように思えます。
投稿者: TESHIMA masahiko
1971年生。鹿児島県出身。出生地は大分県日田市。早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。ミュージシャンとしてインディーズ、メジャーレーベルから数作品発表。また、音楽事務所にて音楽制作、マネジメント・スタッフを経て、専門学校ミューズ音楽院にて新人開発室、ミュージック・ビジネス専攻講師を担当。多数のアーティスト輩出。産業カウンセラー、音楽関連のライター、保育士資格保持者。「文化・芸能業界のこころのサポートセンターMebuki」所属カウンセラー。音楽・エンターテイメントのフィールドでのメンタルヘルスや発達障害などの特性に対する理解の重要さについて発信し続けている。
2016年、精神科医の本田秀夫氏との共著『なぜアーティストは生きづらいのか?~個性的すぎる才能の活かし方』を リットーミュージックから出版。アマゾンの予約の段階で音楽一般カテゴリで1位を獲得。
2016年、音楽プロデューサー・牧村憲一総合監修の「音学校」にて「ミュージシャンファーストマネジメント」ゼミを特任講師として担当。
各種講演・トークイベント、WEB連載を行なっている。
2019年「なぜアーティストは壊れやすいのか?~音楽業界から学ぶカウンセリング入門」上梓(SW)
2024年4月22日『アーティスト・クリエイターの心の相談室 創作活動の不安とつきあう』上梓(福村出版)
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